今回の引越し業者さんの破損に対する対応は、業界のマニュアルどおりだと思います。起きてしまったことに対して、ユーザーの気持ちに配慮しながら、なるべく示談金を抑えたいといったところでしょうか。実際、私が在籍した引越し業者でも同じような対応をするように上から叩き込まれました。
ご質問を受けて私なりに改めて調べてみたのですが、以下が争点かと思います。
引越しの契約時に見積書とは別に運送約款というものを営業マンから渡されていると思うのですが、その中に以下と同じような記載があると思います。
(引受拒絶)
荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを拒絶することがあります。
3 動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要するため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの
補償の観点からも、他の一般の家財とは扱いは別になるのでこのような項目があるのだと思われます。あくまでも私の解釈ですが、一般の家財は減価償却ができますが、美術・骨董の類はそうはいきません。後よくあるのが、思い出の品・・・というものです。
あと、実際に運搬する作業員の立場からは、とても他の家財を扱うモードでは触れないので、作業時間的にも精神的にも負担になりますし・・・
そこでなのですが、今回の争点は上記の(引受拒絶)の告知が事前に営業マンから有ったかどうかなのだと思われます。
その運送約款を記載した紙をただ渡されただけではなく、「貴重品や骨董などは運べません」と分かりやすく説明があったかどうかです。実際トラック協会でも業界全体に対して、プロとして分かりやすくこの事を告知するように求めています。
引越し業者がその事を告知した場合、今度はお客様側にそれに該当する荷物の存在を明らかにする義務が発生します。
推測ですが、補償の話に絡めて荷造りを依頼されるかどうかの話に営業マンとなったようですから、もしかしたらその営業マンは、その大事なお荷物の存在を知っているにも関わらず、「荷造りをお任せいただいたら補償します!」といってしまったのでしょうか・・・。
後は たろう さん 次第なのですが、上記を引越し業者側に伝えられて、どの様に対応が変わるか、でしょうか。
こんな感じのアドバイスでお役に立てればと・・・。
と、ここまでは引越しをされるお客様側に立った内容ですが、参考までに更に書かせてください。
この手の破損や、その後の引越し業者の対応に対するユーザーの不満の声は後を絶ちません。正直、またか・・・と言いたいくらい、ネット上でもこの手のお話を目にします。2ちゃんねるなどの掲示板サイトなんかで。
引越しのプロとして、作業員・営業マンの質を向上させれば解決!といいたいところですが、現実問題として業界的にも必ずしも恵まれた環境でもなければ、人材的にも優秀な者がたくさん集まるとは決して言えません。
私が業界に在籍していた時にこのあたりに言及することは、起こした破損やクレームに対する言い訳のような気がしていましたが、実際に業界の外に出てみて、引越しサービスという商品の難しさと、それを行う業者や人材の質の問題、加えて消費者側の引越しに対する経験の少なさと知識の無さが合わさって、結果としていつまでも破損や各種トラブルが無くならないということにつながっている様に思います。
このサイトを立ち上げた際、なんとか引越しをする人と引越し業界の両方の為になることは出来ないかと考えました。今回のご質問内容は、大抵どの方の引越しでも起こりうる事柄です。
今後このような事例を1件でも少なくしていく為に、引越し業者を利用される当サイトの訪問者の方々に対して、事前に知ってもらいたい事や注意点などを更に詳しく書かないと!と感じた次第であります。。